建築物の設計とwebページの設計

2011年3月11日東京でも大きな地震に見舞われました。もう4ヶ月経ってからの記事になりますが、この地震で体験したことから感じた「建築物のサインデザインや構造設計」と「webページのUI設計やシステム設計」の共通点について書いておこうと思います。
 

あの日、いつものように都内の某ビルで仕事をしていたところ、大きな揺れが発生しビルに勤務する従業員は全員避難することになりました。皆、地震にはびっくりしたものの揺れは収まっていたので特に急ぐこともなく非常階段のほうへ向かいだしました。しかし、階段には上階から下階までずらりと人が並んで列が進むのを待っていました。エレベーターが止ってしまったためビル内の数千人が一斉に非常階段を使おうとして大渋滞が起きていたのです。結局、私が地上に避難できたのは地震発生1時間後のことでした。多くの人が避難するには不十分な避難方法ですね。
 
このときビルが倒壊する心配はありませんでしたが、もし大きな火事など発生した場合には相当運が良くない限り、「死ぬんだな」と直感しました。今回皆焦ってなかったので怪我人は出てないと思いますが、本当にヤバイ状況に陥ったらみんなパニックとなり我先に階段を降りようとしてドミの倒しになることでしょう。
 

ここで、避難体験を通じて感じた建物の問題点を洗い出してみます。

1. 案内放送によるコントロール不足
2. サインの不足
3. 消火器具や酸素マスクなどのグッズが皆無
 
まず1。地震発生後、一気に人を避難させようとした案内放送。しかし階段の幅を考えれば渋滞が起きるのは当然です。こういうときは危険度の高い階の人から優先して避難させるべきではないでしょうか。
次に2。普段ミーティングを行う際には○階の△△△の会議室というのを覚えて行くのですが建物内のサイン自体が不足しすぎです。「高級」「洗練」を目指した建築物なためか、どの階も内装がそっくりで、対となる方角の構造も全く一緒で、更に現在地を示すサインが少ないため、自分がいまどの位置にいるのか迷ってしまう事が多々あります。ただでさえ移動に時間がかかるのに迷っていたら時間がもったいのです。そんな思いをしてるのは自分だけじゃないようで、結局各階に会議室の方向がプリントされた紙が壁に貼られました。紙ペラがぺたっと壁に貼られてるだけなので見た目残念なかんじですが、これがあることで随分助かっています。また、非常階段にも階を示す表示が少なく、位置によっては今自分が何階にいるのか全く分かりません。有事に「何階で待機してください」なんて言われても無駄な移動が発生してしまいそうです。「オシャレさ」を目指す前にこういったサインデザインをもっと考えて欲しいものです。サインの不足は混乱を招きます。
最後に3です。普段から私は非常階段はよく使うのですが、無駄な物は置いておらずすっきりとしたシンプルな非常階段なので、何も無さ具合に不安を感じます。煙が立ちこめれば四方壁に囲まれたこの空間ではすぐ窒息してしまいそうだし、階段途中で火が上がってればもう先には進めません。せめて消化器とか、マスクとか何かしら設置していてほしいものです。
 
ところで、「建築物のサインデザインや構造設計」と「webページのUI設計やシステム設計」って似てません?非常階段の狭さと降りる人数の関係は、回線の大きさとアクセス数の関係と置き換えて考えられます。状況を知らせるビルの案内放送は、アクセスが繋がりにくくなっている旨を知らせるお知らせと同じ。非常時に避難経路を瞬時に理解させる建物のサインデザインはユーザーを迷わせずスムーズに誘導させるためのUIと同じです。このように考えると、建物の構造も興味深くみることができますよね。
 
今回、ビル避難時の人の流れを例に出しましたが、「人身事故をもろに受けたJR埼京線の電車の混雑具合」についても同じ事が言えそうです。遅延が起こる度激混みになるため、人をうまく他路線へ分散させるロードバランサ的なものが必要だ!とぎゅうぎゅう詰めの車内でよく思うので。